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精神疾患で一人暮らしでも障害年金2級はもらえる?日常生活と援助の考え方

はる社会保険労務士事務所の特定社会保険労務士の宮岡です。
日頃から障害年金のご相談・申請支援に携わっています。

精神疾患で一人暮らしをしていても、障害年金2級が認定される場合があります。

「一人暮らしをしていると、日常生活が自立していると判断されるのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。

実際には、ご家族様などから援助を受けながら暮らしている方もいれば、援助を受けられず、食事や身の回りのことが十分にできないまま生活している方もいらっしゃいます。

この記事では、一人暮らしと障害年金の認定の関係を、公的な判断基準と弊所で対応した請求事例を踏まえて解説します。

精神疾患で一人暮らしでも障害年金2級は受けられる?

障害年金は、一人暮らしか、ご家族様と同居しているかという居住形態だけで決まる制度ではありません。

うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神疾患では、病状によって日常生活にどの程度の制限が生じているか、どのような援助を必要としているかなどが重要になります。

障害年金2級は、日常生活が著しい制限を受ける、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害状態が対象です。

そのため、一人で暮らしていても、食事や清潔保持、金銭管理、通院などを適切に行うことが難しく、日常生活に著しい制限が生じている場合には、2級の認定を検討できることがあります。

ただし、一人暮らしだから必ず2級になるわけではありません。病状や日常生活能力、援助の必要性などを、診断書をはじめとする資料から総合的に判断します。また、初診日や保険料納付などの受給要件を満たすことも必要です。

参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

一人暮らしの事実だけで、自立しているとは判断されません

日本年金機構が公表している「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、一人暮らしの方についても、ご家族様などによる日常生活上の援助や福祉サービスの利用状況を考慮することとされています。

独居であっても、援助や福祉サービスによって生活を維持している場合には、その支援の状況を踏まえて2級の可能性を検討します。実際には援助を受けていなくても、援助を必要とする状態にある場合も含まれます。

また、一人暮らしをしている理由や、一人暮らしになった時期も考慮することとされています。

例えば、症状が悪化する以前から一人暮らしを続けている方もいれば、ご家族様との関係などの事情によって同居や援助を受けることが難しい方もいらっしゃいます。

重要なのは、一人暮らしを続けているという結果だけでなく、実際にどのような生活を送っているのかという点です。

参考:日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

援助を受けている場合と、受けられない場合

一人暮らしの方については、実際に援助を受けて生活している場合と、援助を必要としていても受けられない場合を分けて考える必要があります。

家族・知人や福祉サービスの援助で生活している場合

一人暮らしであっても、ご家族様が定期的に訪問して食事や掃除を手伝ったり、通院時に付き添ったりすることがあります。友人や交際相手、訪問看護師、ヘルパーなどが生活を支えている場合もあります。

例えば、次のような援助です。

  • 食料品や日用品の買い物を代わりに行ってもらう
  • 掃除や洗濯、部屋の片付けを手伝ってもらう
  • 通院の送迎や付き添いをしてもらう
  • 服薬の確認や金銭管理を手伝ってもらう
  • 電話や訪問で生活状況を確認してもらう

このような場合、住居には一人で暮らしていても、実際には周囲の援助によって生活が成り立っていることがあります。

誰から、どのような援助を、どのくらいの頻度で受けているのか。その援助がなければ何が難しいのか。 こうした事情を具体的に整理することが大切です。

援助者がいないため、生活に大きな支障が生じている場合

一方、援助を必要としていても、ご家族様などから支援を受けられず、一人暮らしを続けている方もいらっしゃいます。

例えば、意欲や活動性の低下によって食事を用意できず、欠食が続いたり、入浴や洗濯、掃除に手が回らず、衣類やごみが部屋にたまっていたりする場合があります。

その背景には、ご家族様と疎遠である、身近に頼れる方がいない、精神症状によって自分から援助を求めることが難しいといった事情もあります。

援助を受けずに生活できているのか、援助を受けられないために必要なことができていないのかは、大きく異なります。

弊所のご相談でも、一人暮らしを続けながら、食事や清潔保持、住環境の維持に著しい支障が生じている方がいらっしゃいます。援助者がいないという事実だけでなく、何ができずに困っているのかを確認する必要があります。

食事や身の回りのことなど、実際の生活状況を確認します

精神の障害用診断書では、食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院・服薬、対人関係、安全保持、社会性という日常生活能力の7項目などから障害状態を確認します。

一人暮らしの方についても、例えば次のような状況を具体的に確認します。

  • 食事: 食べ物を購入できても、実際には食事が1日1回程度だったり、食欲や意欲の低下で食べられない日が続いたりしていないか
  • 清潔保持: 入浴や着替え、洗濯、掃除を継続して行えているか
  • 金銭管理と買い物: 生活費を管理し、必要な支払いや買い物を計画的に行えているか
  • 通院・服薬: 予約や服薬を管理できるか、送迎・付き添いや声かけが必要か
  • 対人関係・安全保持・社会性: 必要な相談や手続き、体調悪化時の対応を一人で行えるか

例えば、通院できている場合でも、ご家族様の送迎や付き添いがあって初めて通院を継続できていることがあります。また、一度は掃除や洗濯ができても、継続できず生活環境が悪化している場合もあります。

一部の動作ができることと、日常生活全体を適切に維持できることは、必ずしも同じではありません。

なお、精神の障害用診断書の日常生活能力は、単身で生活するとした場合にどの程度できるかという観点から評価されます。実際の援助の状況や、援助がなければ生じる困難を、普段の診察から主治医の先生に伝えておくことが重要です。

詳しくは、障害年金の精神の診断書とは?日常生活能力や就労状況のポイントでも解説しています。

一人暮らしでも障害年金2級に認定されるケースがあります

弊所で対応する中でも、精神疾患で一人暮らしをしている方が、障害年金2級に認定されることは珍しくありません。

例えば、一人暮らしをしていても、通院時の送迎や買い物、掃除などをご本人様だけで十分に行うことが難しく、別居のご家族様や身近な方、福祉関係者などの援助を受けながら生活している方がいらっしゃいます。こうした生活の実態を踏まえた請求で、実際に2級の支給が決定した事例も少なくありません。

ただし、援助を受けていることだけで等級が決まるわけではありません。病状や診断書の日常生活能力の評価なども含めて総合的に判断されます。

一人暮らしかどうかというだけではなく、どのような援助を必要とし、実際にどのように生活を維持しているかを確認することが重要です。

統合失調症の認定基準や初診日については、統合失調症で障害年金はもらえる?認定基準と初診日もご参照ください。

診断書と申立書には、生活の実態を具体的に伝えます

精神疾患で一人暮らしをしている場合、診断書に日常生活の実態が十分に反映されているかは重要な確認事項です。

例えば、診断書に一人暮らしであることだけが記載されていても、別居のご家族様から頻繁に援助を受けていることまでは分からない場合があります。反対に、援助者がいない方について、家事や身の回りのことが十分にできていない状況が、診察の中で把握されていないこともあります。

そのため、実際にできていないことや必要としている援助について、日頃から主治医の先生に具体的に伝えることが大切です。

診断書における医学的な評価は、主治医の先生が行うものです。弊所では、ご本人様やご家族様などから伺った生活実態を整理し、必要に応じて主治医の先生にお渡しする参考資料を作成しています。

また、病歴・就労状況等申立書では、発病から現在までの経過とあわせて、一人暮らしの状況や日常生活上の支障などを説明します。診断書と申立書は役割が異なりますが、同じ生活状況について不自然な食い違いがないよう確認することも重要です。

詳しくは、病歴・就労状況等申立書とは?書き方・作成のポイントをご参照ください。

障害認定日当時と現在の生活状況は分けて確認します

過去にさかのぼって障害年金を請求する場合には、障害認定日当時の生活状況と現在の生活状況を分けて確認する必要があります。

例えば、障害認定日当時は一人暮らしをしていたものの、現在はご家族様と同居している場合や、その逆の場合があります。また、同じ一人暮らしでも、病状の変化によって以前は行えていた家事などが難しくなっていることもあります。

どの時期に一人暮らしをしていたのか、その頃どのような援助を受けていたのか、生活能力がどう変化したのかを整理することが大切です。

なお、過去の障害状態について請求する場合には、当時の障害状態を記載した診断書を作成してもらえるかという問題もあります。現在の状態だけから過去の障害状態を判断せず、それぞれの時期の診療記録や生活実態を踏まえて請求方法を検討します。

まとめ

精神疾患で一人暮らしをしていても、障害年金2級が認定される場合があります。

一人暮らしをしているという事実だけで障害の程度を判断するのではなく、実際の日常生活の状況や、どのような援助を必要としているかを確認することが重要です。

ご家族様や福祉サービスなどの支援によって生活している方もいれば、援助を受けられないために食事や清潔保持、家事などが十分にできていない方もいらっしゃいます。

援助を受けていないことが、援助を必要としていないことを意味するわけではありません。

一人暮らしの方についても、実際の困難や援助の状況を整理し、診断書や申立書に生活実態を適切に反映していくことが大切です。


少しでもご参考にしていただけましたら幸いです。

精神疾患で一人暮らしをしており、障害年金の申請や日常生活の状況の整理についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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