ペースメーカー・ICD・人工弁で障害年金はもらえる?3級の条件と初診日・認定日
はる社会保険労務士事務所の特定社会保険労務士の宮岡です。
日頃から障害年金のご相談・申請支援に携わっています。
「ペースメーカーを入れた場合、仕事を続けていても障害年金を受給できますか」
「人工弁の手術を受けましたが、障害年金3級の対象になるのでしょうか」
心臓の病気でペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着された方から、このようなご相談をいただくことがあります。
ペースメーカー・ICD・人工弁を装着した場合、障害年金の認定基準では原則として3級とされています。ただし、装着すれば誰でも障害年金を受給できるわけではありません。
特に重要なのが、原因となった心疾患の初診日と、その当時に加入していた年金制度です。また、初診日から装着までの期間によって、障害認定日や請求方法も異なります。
また、人工血管・ステントグラフトについても障害年金の対象となる場合がありますが、原因となる大動脈疾患や術後の状態など、別の条件が設けられています。
この記事では、ペースメーカー・ICD・人工弁の認定基準に加え、人工血管・ステントグラフトとの取扱いの違い、初診日や障害認定日の考え方、実際の請求で注意したい点について解説します。
目次
ペースメーカー・ICD・人工弁などの認定基準
心疾患による障害年金では、心臓の機能や検査結果、日常生活への影響などを踏まえて障害の程度を判断します。
一方、ペースメーカーやICD、人工弁など、一定の医療機器を装着した場合には、障害認定基準で具体的な等級が示されています。
基本的な取扱いは、次のとおりです。
| 医療機器・手術 | 障害等級の基本的な取扱い |
|---|---|
| 心臓ペースメーカー | 原則3級 |
| ICD(植込み型除細動器) | 原則3級 |
| 人工弁(機械弁・生体弁) | 原則3級 |
| CRT・CRT-D | 重症心不全に対する装着では2級 |
| 人工血管・ステントグラフト | 胸部大動脈疾患と一般状態など、所定の条件を満たす場合に3級 |
心臓ペースメーカーは、心拍数が遅くなるなどの不整脈に対応するための医療機器です。ICDは、命に関わる重篤な不整脈を検知し、電気的な治療を行う機能を備えています。
また、人工弁は、大動脈弁や僧帽弁などが正常に機能しなくなった場合に、機械弁や生体弁へ置き換える治療で使用されます。
ペースメーカー・ICD・人工弁については、治療後に症状が改善したり、仕事を続けられる状態になったりしても、装着していること自体が原則3級の認定基準に該当します。
ただし、これは障害の程度についての基準であり、実際に年金を受給できるかどうかは、初診日当時の年金加入状況などによって異なります。
なお、ペースメーカーや人工弁などの装着を予定している段階では、まだ「装着したことによる原則3級」の取扱いは適用されません。
参考:日本年金機構「障害認定基準(第11節・心疾患による障害)」
CRT・CRT-Dは通常のペースメーカー・ICDと取扱いが異なります
心臓に装着する機器の中には、CRT(心臓再同期医療機器)や、除細動機能を備えたCRT-Dがあります。
これらは、心臓の収縮のタイミングを調整する治療に使用される機器で、通常のペースメーカーやICDとは区別されています。
障害認定基準では、重症心不全に対してCRT・CRT-Dを装着した場合、2級とされています。
ただし、術後1~2年程度の経過観察を行い、症状が安定している場合には、臨床症状や検査結果、日常生活の状態などを踏まえて等級を再認定する取扱いがあります。
また、通常のペースメーカーやICDを装着している方でも、心不全などの症状が重く、所定の認定基準を満たす場合には、2級以上が検討されることがあります。
そのため、装着した機器の種類と、心疾患そのものの障害状態を分けて確認することが重要です。
参考:日本年金機構「障害認定基準(重症心不全・CRT・CRT-D)」
人工弁置換術と弁形成術は同じではありません
人工弁には、金属などを使用した機械弁と、生体組織を使用した生体弁があります。
いずれも人工弁への置換術であれば、原則3級の認定基準に該当します。
一方、心臓の弁を修復する「弁形成術」では、人工弁輪という器具を使用することがあります。
この人工弁輪は、障害年金の認定基準でいう人工弁には該当しません。
例えば、大動脈弁置換術と僧帽弁形成術を同時に受ける場合があります。この場合には、実際にどの弁を人工弁に置き換えたのか、どの弁を修復したのかを区別して確認する必要があります。
また、複数の人工弁を装着した場合も、人工弁の数によって自動的に2級になるわけではなく、原則3級とされています。
ただし、人工弁の装着後も重い心不全症状などが続く場合には、2級以上を検討できることがあります。
認定基準では、人工弁置換術から6か月以上経過しても、臨床所見や異常検査所見、一般状態が具体的な条件を満たす場合について、2級の認定例が示されています。
人工弁を装着していることによる原則3級と、心疾患の重症度による上位等級は、分けて考える必要があります。
参考:日本年金機構「かけはし」第72号(2ページ・人工弁と人工弁輪)
人工血管・ステントグラフトは3級の条件が異なります
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤によって人工血管を挿入置換した場合にも、障害厚生年金3級を検討できることがあります。
ただし、ペースメーカー・ICD・人工弁とは異なり、人工血管を挿入置換しただけで、原則3級になるわけではありません。
障害認定基準では、胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により人工血管を挿入し、一般状態区分表の「イ」または「ウ」に該当する場合が3級とされています。
一般状態区分の「イ」は、軽度の症状があり、肉体労働には制限があるものの、歩行や軽労働、座業などはできる状態です。
「ウ」は、歩行や身の回りのことはできるものの、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできず、日中の50%以上は起きて過ごしている状態です。
ここでいう人工血管には、ステントグラフトも含まれます。また、胸部大動脈瘤には胸腹部大動脈瘤も含まれます。一方、腹部大動脈瘤のみの場合には、この3級の認定基準がそのまま適用されるわけではありません。
なお、狭心症や心筋梗塞などで留置する冠動脈ステントは、大動脈のステントグラフトとは異なります。冠動脈ステントを留置した事実だけで原則3級になるわけではありません。
人工血管による障害年金では、原因となった大動脈疾患、挿入した部位、術後の一般状態などを確認することが重要です。
障害厚生年金3級を受給できるかは初診日が重要です
ペースメーカー・ICD・人工弁による障害年金では、初診日当時に厚生年金へ加入していたかどうかが非常に重要です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、3級が設けられているのは障害厚生年金だけです。
そのため、同じようにペースメーカーや人工弁を装着していても、初診日当時の加入状況によって、受給できる年金が異なります。
| 初診日当時の加入状況 | 原則3級の場合の取扱い |
|---|---|
| 厚生年金に加入 | 障害厚生年金3級を検討できる |
| 国民年金に加入 | 障害基礎年金には3級がないため、原則3級の状態だけでは受給できない |
| 配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者) | 障害基礎年金の対象となり、3級はない |
例えば、会社員として厚生年金に加入していたときに不整脈で初めて受診し、その後退職してからペースメーカーを装着した場合でも、障害厚生年金3級を検討できます。
反対に、国民年金加入中に初めて心疾患で受診し、その後会社員になって厚生年金加入中に人工弁置換術を受けた場合には、手術時に厚生年金へ加入しているという理由だけで、障害厚生年金の対象になるわけではありません。
機器を装着した時点ではなく、原則として原因傷病の初診日時点の年金加入状況によって判断されます。
これは人工血管によって3級を検討する場合も同様です。
ただし、初診日が国民年金加入中であっても、重症心不全などによって2級以上の障害状態に該当する場合には、障害基礎年金を検討できる可能性があります。
また、初診日や障害状態の要件に加えて、所定の保険料納付要件を満たしていることも必要です。
「ペースメーカーや人工弁は原則3級」という認定基準と、ご本人様が実際に障害厚生年金3級を受給できることは、別の問題です。
参考:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
ペースメーカー・ICD・人工弁の初診日はいつになる?
心疾患では、最初に症状が現れてからペースメーカーやICDの装着、人工弁の手術まで、長い期間が経過していることがあります。
そのため、障害年金の初診日を確認する際には、手術を受けた病院だけでなく、過去の受診歴も整理する必要があります。
手術を受けた病院が初診先とは限りません
障害年金の初診日とは、原則として、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師等の診療を受けた日をいいます。
例えば、近隣のクリニックで不整脈や弁膜症を指摘され、その後、大学病院などに紹介されて手術を受けることがあります。
この場合、手術を受けた大学病院ではなく、最初に受診したクリニックが初診先となることがあります。
また、初めて受診した当時は病名が確定していなくても、その後の診療経過から同一の傷病と判断されれば、当時の受診日が初診日となる場合があります。
一方、以前から心臓の病気で受診していたとしても、その受診が必ず今回の原因傷病の初診日に当たるわけではありません。
例えば、以前から心房細動で通院していた方が、その後、別の心疾患によって人工弁置換術を受けた場合には、それぞれの傷病の関係を確認する必要があります。
先に受診していた心疾患と今回の原因傷病との間に、医学的な相当因果関係が認められるかどうかなどによって、初診日の取扱いが異なることがあります。
また、健康診断で心電図の異常を指摘された場合でも、健診日がそのまま初診日になるとは限りません。
健診結果とともに、その後の医療機関の受診歴を確認する必要があります。
さらに、初診日が何年も前になる場合には、当時の医療機関にカルテが残っていないこともあります。
そのような場合には、紹介状や診療情報提供書、後に受診した医療機関の診療記録などから、過去の受診歴を確認していくことがあります。
ただし、これらの資料があれば必ず初診日を証明できるというわけではありません。残っている資料の内容や、初診日当時の年金加入状況なども含めて確認する必要があります。
なお、胸部大動脈解離のように、突然発症し、救急搬送先で初めて診療を受ける場合もあります。以前から心疾患で通院していたケースとは受診経過が異なるため、原因傷病との関係を個別に確認します。
初診日が古い場合には、装着した日だけでなく、初診日をどのように証明するかが、請求を進めるうえで重要になります。
初診日の基本的な考え方については、関連記事「障害年金の初診日はいつ?確認するときのポイント」でも説明しています。
先天性心疾患の場合は初診日の考え方に注意が必要です
生まれつき心臓に病気がある場合にも、初診日の取扱いには注意が必要です。
日本年金機構では、先天性心疾患の初診日について、具体的な症状が現れて初めて診療を受けた日とする取扱いを示しています。
そのため、先天性心疾患だからといって、一律に出生日を初診日とするわけではありません。
幼少期から診療を受けていた方と、大人になってから症状が現れて初めて受診した方では、初診日や対象となる年金制度が異なる場合があります。
20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合には、原則として障害基礎年金の対象となります。
この場合、障害基礎年金には3級がないため、ペースメーカーや人工弁の装着による原則3級の状態だけでは受給できません。
ただし、20歳前であっても、会社員などとして厚生年金に加入しているときに初診日がある場合には、障害厚生年金の対象となります。
先天性心疾患では、病気が生まれつきであることだけで判断せず、実際の受診歴と年金加入状況を確認することが大切です。
参考:日本年金機構「かけはし別冊・障害年金講座」(3ページ・先天性心疾患の初診日)
装着日が障害認定日になるのはいつ?
障害年金では、障害の状態を判断する基準となる日を「障害認定日」といいます。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、ペースメーカー・ICD・人工弁については、一定の条件を満たすと、それより早い時期が障害認定日となります。
初診日から装着日までの期間によって、障害認定日や請求方法が異なります。
初診日から1年6か月以内に装着した場合
ペースメーカー・ICD・人工弁を初診日から1年6か月以内に装着した場合には、原則として、その装着日が障害認定日になります。
例えば、令和7年4月に不整脈で初めて受診し、同年10月にペースメーカーを装着した場合、初診日から1年6か月が経過していなくても、装着日を障害認定日として請求を検討できます。
人工弁の場合も同様です。
初診日から1年6か月以内に人工弁置換術を受けた場合には、原則として人工弁の装着日が障害認定日になります。
また、CRT・CRT-Dや、胸部大動脈解離・胸部大動脈瘤に対する人工血管(ステントグラフトを含む)の挿入置換についても、所定の条件のもとで早期認定日の取扱いがあります。
ただし、装着日・挿入置換日が障害認定日となることと、実際に障害等級に該当することは別です。 特に人工血管では、前述した一般状態区分などの条件も確認する必要があります。
また、障害認定日から1年を経過する前に認定日請求を行う場合には、原則として認定日用診断書1通で請求できます。
診断書には、原則として障害認定日以後3か月以内のいずれかの日の障害状態を記載してもらいます。20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合は、20歳到達日や診断書の対象期間について別途確認が必要です。
一方、障害認定日から1年以上経過して請求する場合には、原則として認定日用診断書と現在用診断書の2通が必要です。
例えば、人工弁置換術から数か月後に請求する場合と、手術から数年経過して請求する場合とでは、必要となる診断書が異なることがあります。
装着日が障害認定日となる場合でも、請求までの期間によって必要な診断書が変わるため、医師に依頼する前に確認することが重要です。
なお、障害認定日による請求が認められれば、原則として障害認定日の属する月の翌月分から年金が支給対象となります。
ただし、過去にさかのぼって受け取れる年金は、時効により原則として5年分までです。
参考:厚生労働省「障害基礎年金お手続きガイド」(13ページ・人工血管等の早期認定)
参考:日本年金機構「かけはし」第58号(3ページ・診断書の必要通数)
初診日から1年6か月を超えて装着した場合
一方、初診日から1年6か月を超えてペースメーカーや人工弁などを装着した場合には、装着日が新たな障害認定日になるわけではありません。
この場合、障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日となります。
例えば、10年前から不整脈で通院していた方が、今年になってペースメーカーを装着した場合を考えてみます。
すでに本来の障害認定日は経過しているため、その時点では障害等級に該当しておらず、今回の装着によって初めて原則3級の状態になったのであれば、現在の状態による事後重症請求を検討することになります。
事後重症請求では、原則として請求した月の翌月分から年金が支給されます。
そのため、請求が遅れると、その分だけ受給開始も遅くなります。
一方、初診日から1年6か月後の障害認定日時点で、すでに障害年金の等級に該当していた場合には、過去の診断書などによって認定日請求を検討できることもあります。
ただし、現在ペースメーカーを装着しているからといって、過去の障害認定日時点でも同じ等級に該当していたことにはなりません。
当時の心疾患の症状や検査結果、日常生活の状態などを確認し、必要な時期の診断書を作成していただけるかが重要になります。
また、事後重症請求は、原則として65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。
65歳以降にペースメーカーや人工弁を装着した場合でも、そのことによって新たに事後重症請求ができるわけではありません。
一方、過去の障害認定日時点で障害等級に該当していた場合には、認定日請求を別に検討できることがあります。
装着した時期と障害認定日の関係を整理し、認定日請求と事後重症請求のどちらを検討できるのか確認することが大切です。
認定日請求と事後重症請求の違いについては、関連記事「障害年金は過去にさかのぼって受給できる?遡及請求の仕組み」でも説明しています。
参考:日本年金機構「かけはし別冊・障害年金講座」(24ページ・請求時期)
ペースメーカーや人工弁を装着した後も働いている場合
ペースメーカーや人工弁の手術後、症状が改善し、以前の勤務先に復職される方もいらっしゃいます。
このような場合、「仕事ができるようになったので、障害年金は受給できないのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ペースメーカー・ICD・人工弁の装着による原則3級の取扱いでは、就労していることだけを理由に、直ちに認定基準の対象外となるわけではありません。
例えば、心疾患が悪化して手術前に休職していた方が、人工弁置換術を受け、その後に職場復帰する場合があります。
手術によって症状が改善し、以前と同じように働けるようになったとしても、人工弁を装着していることによる原則3級の取扱いは、復職したことだけで否定されるものではありません。
一方、心不全などによって2級以上を検討する場合には、装着した機器だけでなく、臨床症状や検査結果、日常生活の制限などを確認する必要があります。
一方、人工血管では、所定の一般状態区分が3級の認定基準に関係します。仕事をしているかどうかという事実だけでなく、肉体労働・軽労働にどの程度の制限があるか、日常生活でどのような支障があるかを確認することになります。
また、身体障害者手帳をお持ちの方については、手帳と障害年金の等級の違いにも注意が必要です。
心疾患によって身体障害者手帳1級を取得している場合でも、障害年金が当然に1級になるわけではありません。
身体障害者手帳と障害年金は別の制度であり、それぞれ異なる認定基準によって判断されます。
障害年金で2級以上に該当するかどうかは、障害年金の認定基準に照らして確認する必要があります。
詳しくは、関連記事「障害者手帳と障害年金の違い」をご参照ください。
診断書の作成と請求準備で注意したいこと
ペースメーカー・ICD・人工弁による障害年金の請求では、一般的に「循環器疾患の障害用」の診断書を使用します。
この診断書には、傷病名や初診日、治療経過のほか、心臓の症状や検査結果、装着した医療機器の種類、日常生活活動能力・労働能力などを記載する欄があります。
特に、装着した機器の種類と装着年月日が、診断書に正確に記載されているかを確認することが重要です。
循環器疾患用診断書では、⑫「疾患別所見」に、それぞれの傷病に応じた項目が設けられています。
ペースメーカー・ICDについては「3 不整脈」、人工血管については「4 大動脈疾患」、人工弁については「5 先天性心疾患・弁疾患」、CRT・CRT-Dについては「6 重症心不全」の欄などを確認します。
例えば、人工弁置換術と弁形成術を同時に受けている場合には、両者を混同せず、実際にどのような手術を受けたのかが分かるようにする必要があります。
人工血管の場合には、挿入部位や挿入年月日、ステントグラフトの有無、一般状態区分なども重要な確認事項となります。
また、心不全の症状や心機能、検査結果などによって上位等級を検討する場合には、診断書の臨床所見や検査所見も重要です。
必要な心電図や検査結果などの添付資料についても確認します。
ただし、すべての検査を新たに受けなければならないわけではありません。診療録に残っている検査結果などを踏まえ、主治医の先生に必要な内容をご判断いただくことになります。
さらに、診断書の現症日と、その時点の日常生活活動能力・労働能力にも注意が必要です。
例えば、人工弁置換術を受けた当日は入院中で仕事をしていなかったものの、診断書の現症日には退院し、職場復帰している場合があります。
このような場合には、手術前の状態、手術当日の状態、診断書の現症時点の状態を混同しないようにすることが重要です。
実際の請求では、最初に受診した医療機関と手術を受けた医療機関が異なり、初診先から受診状況等証明書を取得したうえで、手術を受けた医療機関に診断書を依頼することもあります。
また、主治医の先生が、過去の受診歴や就労状況のすべてを把握されているとは限りません。
弊所でも、必要に応じて、初診日や治療経過、装着した医療機器、手術前後の生活・就労状況などを整理した参考資料を作成することがあります。
ただし、診断書の医学的な評価は主治医の先生が行うものです。
診療録や医師の医学的なご判断を尊重しながら、実際の状態を正確に伝えることが大切です。
請求にあたっては、診断書のほか、初診日を証明する受診状況等証明書や、病歴・就労状況等申立書なども必要に応じて準備します。
初診日、装着日、診断書の対象時期などに食い違いがないかを確認し、請求方法に応じて必要な書類を整えていくことになります。
参考:日本年金機構「循環器疾患の障害用の診断書を提出するとき」
参考:日本年金機構「かけはし」第72号(3~4ページ・診断書の記載事項)
まとめ
ペースメーカー・ICD・人工弁を装着した場合、障害年金の認定基準では原則として3級に該当します。
ただし、3級は障害厚生年金に設けられた等級であり、初診日が国民年金加入中だった場合には、原則3級の状態だけでは障害基礎年金を受給できません。
また、CRT・CRT-Dには重症心不全に対する装着による2級の取扱いがあり、人工血管には原因となる大動脈疾患や一般状態区分など、別の条件が定められています。
装着時期についても、初診日から1年6か月以内であれば、原則として装着日が障害認定日となりますが、それを超えている場合には請求方法が異なります。
さらに、初診日が古い場合には、過去の受診歴や診療記録の確認が必要になることもあります。
ペースメーカー・ICD・人工弁などによる障害年金では、初診日と当時の年金加入状況、装着した医療機器の種類、装着時期を整理したうえで、請求の見通しを検討することが大切です。
少しでもご参考にしていただけましたら幸いです。
ペースメーカー・ICD・人工弁などを装着された方や、これから手術を予定しており、障害年金の請求についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。