障害年金の診断書とは?種類や注意点を解説
「障害年金を申請したいのですが、診断書はどのようにお願いすればよいでしょうか」
「どの先生に書いてもらえばよいのでしょうか」
障害年金のご相談では、診断書についてこのようなご質問をいただくことがあります。
障害年金の診断書は、障害の状態を確認するための非常に重要な書類です。
ただし、一般的な診断書を主治医に作成してもらえばよいというものではありません。
障害の種類によって使用する診断書が異なり、請求方法によっても、いつの障害状態を書いてもらうのかが変わります。
また、現在の通院先と初診日の医療機関が異なる場合には、初診日の確認と診断書を依頼する順番にも注意した方がよいことがあります。
この記事では、障害年金の診断書について、種類、依頼する医師、必要となる時期、依頼前・受取後に確認しておきたいことなどを整理して解説します。
目次
障害年金では診断書が重要な資料になります
障害年金は、病名だけで障害等級が決まる制度ではありません。
病気やけがによって、日常生活や労働にどの程度の制限が生じているのかなどを、障害認定基準に基づいて判断します。
その際に、障害の状態を医学的に確認するための重要な資料となるのが診断書です。
そのため、単に「この病気で治療を受けています」ということだけではなく、実際にどのような障害があり、生活や仕事にどの程度の支障が生じているのかが、診断書に適切に記載されていることが重要になります。
参考:日本年金機構「障害年金の診断書を作成する医師の方へ」
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/sakusei.html
診断書の種類と、確認される主な内容
障害年金の診断書は、障害の内容に応じて次の8種類に分かれています。
- 眼の障害用
- 聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声または言語機能の障害用
- 肢体の障害用
- 精神の障害用
- 呼吸器疾患の障害用
- 循環器疾患の障害用
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
- 血液・造血器・その他の障害用
それぞれの診断書には、傷病名や治療経過などに加えて、その障害に応じた項目が設けられています。
たとえば、肢体の障害用では関節可動域や筋力、日常生活動作など、精神の障害用では病状、日常生活能力、就労状況などが確認されます。
参考:日本年金機構「障害年金の請求手続き等に使用する診断書・関連書類」
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/
病名だけで診断書の様式が決まるとは限りません
同じ傷病であっても、実際にどのような障害が生じているのかによって、使用する診断書が異なる場合があります。
たとえば、脳血管障害によって手足の障害と高次脳機能障害などが生じている場合には、肢体の障害用と精神の障害用など、複数の診断書が必要になることがあります。
がんの場合も同様です。
手足や特定の臓器などに機能障害が生じている場合には、その障害に応じた診断書を使用することがあります。
一方、がんそのものや治療の影響による全身の衰弱、強い倦怠感などが主な障害となっている場合には、「血液・造血器・その他の障害用」の診断書を使用することがあります。
このように、病名だけではなく、どのような障害について請求するのかを整理して、使用する診断書を確認することが大切です。
参考:日本年金機構「障害認定基準 第16節/悪性新生物による障害」(PDF)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-16.pdf
参考:日本年金機構「血液・造血器・その他の障害用の診断書を提出するとき」
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/20140421-16.html
診断書は誰に書いてもらう?
現在の障害状態について請求する場合には、通常、現在の病状や障害の状態を把握している医師へ診断書を依頼します。
一方、過去の障害認定日時点までさかのぼって請求する場合には、当時の障害状態を確認する必要があります。
そのため、障害認定日の頃に通院していた医療機関で、当時のカルテなどをもとに診断書を作成してもらえるか確認することになります。
つまり、初診の医療機関、障害認定日の頃に通院していた医療機関、現在の通院先が、すべて同じとは限りません。
必要となる診断書によって、依頼する医療機関も確認していくことになります。
複数の医療機関を受診している場合
症状に応じて複数の医療機関を受診している場合には、今回請求する障害について、必要な診断書を作成してもらえるかという点も確認しておきましょう。
障害年金の診断書には、障害の種類ごとに専門的な所見や検査結果を記載する欄があります。
そのため、普段通院している医療機関であっても、その診断書に必要な内容を記載できるかは別の問題です。
診療科や医師の専門分野、実際に診療している内容なども踏まえて、診断書の依頼先を確認することが大切です。
診断書は「いつの状態」を書いてもらうのか
障害年金の診断書では、いつの障害状態を記載してもらうのかも重要です。
診断書の「現症日」は、その診断書に記載されている障害状態がいつのものかを示す日付です。診断書を作成した日とは区別して確認します。
請求方法によって、必要となる現症日の期間が異なります。
障害認定日請求の場合
障害認定日請求では、原則として、障害認定日以後3か月以内の障害状態を記載した診断書が必要です。
また、障害認定日から1年以上経過して請求する場合には、障害認定日時点の診断書に加えて、請求日前3か月以内の現在の障害状態を確認する診断書も必要になります。
なお、1年未満であっても、障害認定日時点から現在までに病状が大きく変化している場合などには、現在の状態を確認する診断書を併せて提出することがあります。
過去にさかのぼって請求する場合には、現在の状態を書いてもらうだけではなく、当時の診療記録をもとに障害認定日時点の診断書を作成してもらえるかが重要になります。
認定日請求や遡及請求については、「障害年金は過去にさかのぼって受給できる?遡及請求の仕組み」もご参照ください。
参考:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/20140519-01.html
参考:日本年金機構「障害厚生年金を受けられるとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/20140519-02.html
20歳前傷病による障害基礎年金では、障害認定日の前後3か月以内の状態を確認する取扱いがあります。
この点については、「20歳前傷病の障害年金とは?初診日・認定日・遡及請求・所得制限を解説」で詳しく解説しています。
参考:日本年金機構「かけはし 第58号」(2~3ページ・診断書の現症日)
事後重症請求の場合
現在の障害状態による事後重症請求では、原則として、請求日前3か月以内の現症日による診断書が必要です。
診断書を取得してから請求まで時間が空き、現症日が対象期間から外れてしまうと、あらためて診断書が必要になることがあります。
一方、受診状況等証明書や障害認定日頃の診断書には、現在の診断書のような「請求日前3か月以内」という条件はなく、書類そのものに「作成後○か月以内」といった一律の有効期限があるわけではありません。
そのため、障害年金の請求では、必要な書類をどの順番で取得するのかも大切です。
たとえば、受診状況等証明書や、必要に応じて障害認定日頃の診断書を先に取得し、初診日や過去の状態を確認したうえで、請求時期に合わせて現在の診断書を依頼することで、現症日の期間を過ぎて診断書を取り直すといった事態も避けやすくなります。
参考:日本年金機構「かけはし 第67号」(6ページ・現症日の確認)
https://www.nenkin.go.jp/service/riyoushabetsu/cooperator/kakehashi/67.files/67.pdf#page=6
更新時に提出する「障害状態確認届(診断書)」については、「障害年金の更新は何年ごと?障害状態確認届の時期・提出期限を解説」もご参照ください。
診断書を依頼する前に確認しておきたいこと
診断書を依頼する前には、初診日や請求方法を整理し、どの診断書を、どの医師に、いつの障害状態について記載してもらうのかを確認しておきましょう。
現在の通院先と初診日の医療機関が異なる場合
現在の通院先と初診日の医療機関が異なる場合には、まず、初診日や当時の受診経過を確認することが大切です。
一般的には、初診の医療機関から「受診状況等証明書」を取得して確認します。
先に初診日や受診経過を確認しておくことで、その内容を踏まえて現在の診断書を依頼でき、診断書に記載される初診日や治療経過と、他の提出書類との整合性も確認しやすくなります。
一方、診断書によって初診日を確認できる場合には、別途「受診状況等証明書」を必要としないこともあります。
たとえば、障害認定日請求で初診の医療機関から当時の診断書を取得し、その診断書によって初診日を確認できる場合などです。
大切なのは、すべての書類を一律に取得することではなく、受診歴を確認し、どの書類で初診日を証明するのかを整理してから進めることです。
初診日の考え方や証明方法については、「障害年金の初診日はいつ?確認するときのポイント」で詳しく解説しています。
あらかじめ主治医へ相談しておきましょう
診断書の作成をお願いする前に、障害年金の申請を検討していることを主治医へ相談しておくことも大切です。
また、普段の診察から、症状だけではなく、日常生活で困っていること、ご家族などから受けている援助、仕事をしている場合の支障や職場での配慮など、実際の生活状況についても伝えておきましょう。
診断書を作成する段階になって初めて多くの事情を伝えるよりも、日頃の診療の中で症状や生活状況を共有しておく方が、主治医にもこれまでの経過を把握してもらいやすくなります。
診断書の評価は医師の医学的な判断によりますが、その判断のもとになる実際の症状や生活上の支障を、できるだけ正確に伝えておくということです。
就労状況については、「働いていても障害年金はもらえる?仕事・収入・就労状況と審査のポイント」でも解説しています。
完成した診断書は、提出前に確認しましょう
医療機関から診断書を受け取ったら、そのまま提出するのではなく、一度内容を確認しておきましょう。
氏名や生年月日、傷病名、初診日などの基本事項に加えて、現症日が今回の請求内容に応じた期間に入っているかは、特に確認しておきたいところです。
また、実務上は、診療担当科名の記載漏れなど、一見すると細かな項目についても確認が必要になることがあります。
診断書全体を見て、必要な欄に記載漏れがないか、使用している様式が今回の障害や請求内容に合っているかを確認します。
もちろん、診断書は医師が作成する書類ですので、ご本人様が内容を書き換えることはできません。
明らかな記載漏れや、受診日などの客観的な事実に誤りがある場合には、医療機関へ確認することになります。
参考:日本年金機構「かけはし別冊 障害年金講座③〈診断書〉」(4ページ・診断書確認時の留意事項)
他の提出書類との整合性も確認します
障害年金では、診断書のほかに「受診状況等証明書」や「病歴・就労状況等申立書」なども、必要に応じて提出します。
そのため、初診日や転院・入院の時期、就労状況などについて、他の書類との間に不自然な食い違いがないかも確認します。
たとえば、同じ時期について、診断書では休職中、申立書では通常勤務となっている場合には、実際の状況を確認する必要があります。
診断書と申立書は役割が異なるため、同じ文章にそろえるという意味ではありません。
同じ時点の事実について相違がないかを確認し、それぞれの書類で必要な内容を伝えることが大切です。
まとめ
障害年金の診断書を準備する際には、「どの診断書を、誰に、いつの状態について書いてもらうのか」を確認することが大切です。
また、現在の診断書には現症日の期間がある一方、受診状況等証明書などには一律の有効期限がないため、必要な書類を取得する順番も重要になります。
初診日の医療機関と現在の通院先が異なる場合や、過去にさかのぼった請求を検討する場合には、受診歴や初診日を整理したうえで、請求方法に合わせて診断書を準備していきましょう。
主治医へ障害年金を検討していることを事前に相談し、普段の診療から症状や日常生活・就労上の支障などを伝えておくことも大切です。
少しでもご参考にしていただけましたら幸いです。
障害年金の診断書について、どの医療機関へ依頼すればよいのか、過去と現在の診断書が必要になるのかなど、疑問がございましたらお気軽にご相談ください。