障害年金の診断書を書いてもらえないときは?主治医への相談と対応のポイント
はる社会保険労務士事務所の特定社会保険労務士の宮岡です。
日頃から障害年金のご相談・申請支援に携わっています。
障害年金を請求するためには、原則として医師が作成する障害年金用の診断書が必要です。
主治医の先生から診断書の作成が難しいと言われた場合には、まず「なぜ難しいのか」を確認することが大切です。
「今の状態では難しい」のか、「まだ治療期間が短い」のか、「過去の状態は書けない」のか、あるいは医療機関として障害年金用診断書の作成に慎重なのかによって、今後の進め方は変わります。
診断書を書いてもらえないと言われたからといって、すぐに転院などを考えるのではなく、まず理由を整理し、現在の生活状況や受診歴など、確認できることを一つずつ進めていきます。
目次
診断書を書いてもらえない理由は一つではありません
実際のご相談では、
「主治医から障害年金は難しいと言われました」
「診断書は書けないと言われました」
といったお話を伺うことがあります。
ただ、詳しく確認すると、その背景はケースによって異なります。
たとえば、
- 現在の病状や日常生活の状況から、医師が障害年金の対象となる程度ではないと考えている
- 治療を始めて間もなく、現在の状態や今後の経過を十分に判断できない
- 障害認定日頃を診療しておらず、当時の状態を医学的に証明することが難しい
- 初診日や過去の受診歴の確認が十分にできていない
- 医療機関として障害年金用診断書の作成に慎重である
といった事情が考えられます。
実際には、「障害年金そのものが難しい」と言われている場合と、「現在はまだ診断書を作成できる段階ではない」という場合とでは、その後の対応も変わります。
まず確認したいのは、「書いてもらえるか、もらえないか」だけではなく、「なぜ難しいと言われているのか」です。
背景が分かれば、その後に確認すべきことも整理しやすくなります。
日常生活や就労の状況が主治医の先生に伝わっているか
特に精神の障害では、診察時間の中だけでは日常生活の実態が十分に伝わっていないことがあります。
診察では、
「最近どうですか」
「変わりません」
といった短いやり取りで終わっていても、実際には、
- 食事の準備や掃除などの家事が難しい
- 入浴の頻度が大きく減っている
- 服薬をご家族に管理してもらっている
- 一人での外出が難しい
- ご家族から日常的な援助を受けている
- 仕事を続けるために勤務時間や仕事内容について配慮を受けている
といった事情があることがあります。
こうした状況は、障害年金の診断書でも重要な情報になります。
診断書を重く書いてもらうために困りごとを強く表現するということではなく、実際の生活でどのような支障があり、どのような援助を受けているのかを、普段の診察から具体的に伝えておくことが大切です。
精神の障害用診断書で確認される日常生活能力や就労状況については、「障害年金の精神の診断書とは?日常生活能力や就労状況のポイント」でも詳しく解説しています。
診断書を依頼する前に整理しておきたいこと
診断書の作成をお願いする前に、障害年金の手続きとして確認しておきたい事項があります。
主なものは、
- 初診日
- これまでに受診した医療機関
- 現在の症状や日常生活上の支障
- ご家族などから受けている援助
- 現在または過去の就労状況
などです。
特に初診日がはっきりしていない場合には、診断書の依頼より先に受診歴を確認した方がよいこともあります。
現在の主治医の先生に診断書を書いていただける見込みがあっても、障害年金では初診日の確認が請求の前提となるためです。
初診日の考え方については、「障害年金の初診日はいつ?確認するときのポイント」で詳しく解説しています。
また、障害認定日までさかのぼって請求する場合には、現在の診断書とは別に、障害認定日頃に受診していた医療機関へ診断書をお願いする必要がある場合があります。
そのため、現在の主治医の先生に診断書を書いていただけるかだけではなく、請求全体の流れを確認してから進めることが大切です。
主治医の先生へお渡しする参考資料を作成することがあります
弊所では、ご依頼をいただいた場合、必要に応じて主治医の先生へお渡しする参考資料を作成しています。
参考資料には、これまでの受診歴や日常生活上の支障、ご家族から受けている援助、就労状況などを整理します。
これは、
「このように診断してください」
「この等級になるように書いてください」
とお願いするための資料ではありません。
診察時間だけでは伝わりにくい生活状況などを整理し、診断書を作成する際の参考としていただくことを目的としています。
「障害年金は難しい」と言われた場合
主治医の先生から、
「障害年金は難しいと思います」
「今の状態では該当しないのではないでしょうか」
などと言われることもあります。
障害年金の認定は、診断書や病歴・就労状況等申立書などの提出書類をもとに、審査機関が行います。
一方で、主治医の先生は、これまでの診療経過や現在の病状を医学的な立場から見ています。
そのため、このような場合には、
「なぜ難しいと考えているのか」
「現在の病状や生活状況を、主治医の先生がどのように把握しているのか」
を確認します。
病状や医学的な評価そのものは、医師が判断するものです。
社労士が医学的な評価を決めることはできませんが、受診歴や生活状況、就労状況を整理し、障害年金の手続きとして何を確認していく必要があるのかを整理することはできます。
参考:日本年金機構「障害年金の診断書を作成する医師の方へ」
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/shougai/shindansho/sakusei.html
転院すれば解決するとは限りません
診断書の作成が難しいと言われた場合に、
「それなら病院を変えた方がよいのでしょうか」
とご相談いただくこともあります。
しかし、診断書を書いてもらうことだけを目的に転院すれば解決するとは限りません。
新しく診療を担当する医師は、それまでの病状や治療経過を直接診てきたわけではありません。
転院してすぐに障害年金用診断書を作成できるとは限りませんし、一定期間診療を続けたうえで現在の状態を判断したいと考える場合もあります。
また、障害認定日頃の診断書については、現在の医療機関へ転院したからといって、新しい主治医が過去の状態を証明できるようになるわけではありません。
もちろん、治療方針や主治医との関係などから転院を検討する場合もあります。
ただし、障害年金の診断書だけを理由に考えるのではなく、今後の治療をどこで受けていくのかという医療上の観点も含めて考える必要があります。
診断書を書いてもらえた後も内容を確認します
診断書を作成していただいた後は、そのまま提出する前に内容を確認します。
たとえば、
- 受診歴や受診時期
- 入院・通院の経過
- 就労状況
- その他、客観的に確認できる事実関係
について、明らかな記載漏れや事実との違いがないかを確認します。
気になる点がある場合には、事実関係を整理したうえで、必要に応じて医療機関へ確認します。
また、診断書だけでなく、受診状況等証明書や病歴・就労状況等申立書など、ほかの提出書類との間に不自然な食い違いがないかも確認します。
障害年金の診断書全般については、「障害年金の診断書とは?種類や注意点を解説」でも詳しくご案内しています。
診断書を書いてもらえないときは、まず理由を整理しましょう
障害年金の診断書を書いてもらえないと言われた場合でも、理由によって対応は異なります。
「今の状態では難しい」のか、
「まだ治療期間が短い」のか、
「過去の状態は書けない」のか、
「医療機関として作成が難しい」のか。
まずは、その理由を確認します。
そのうえで、受診歴や日常生活・就労の状況など、確認できることを一つずつ整理していきます。
少しでもご参考にしていただけましたら幸いです。
診断書の依頼方法に迷われている場合や、どこから障害年金の手続きを進めればよいのか分からない場合には、お気軽にご相談ください。